上下の空気の中でゆったり育った 小倉園の“お茶”を一服どうぞ

小倉園

三代にわたってお茶の栽培、製造、販売を行う「小倉園」。無農薬による特別栽培の日本茶は、渋みが少なく素朴で優しい味わいです。「上下でなければ作れない」という小倉園のお茶を一服いただくと、体の隅々に上下の爽やかな空気が広がります。


山の開墾から始まった上下のお茶作り

なだらかな傾斜の大地に、太陽光がたっぷり降り注ぐ茶畑

 「小倉園」の始まりは約50年前、上下の山を切り拓いた地に植えたお茶の木。山の上のため水源がなく、水をそれほど必要としない作物としてお茶を選んだ。上下町はお茶生産地としては北限となる準寒冷地。虫が少なく、病気の管理がしやすいというメリットもある。小倉園は創業時から無農薬栽培を行い、三代目の秋山剛さんもその栽培方法を続けている。
 秋山さんは上下の高校を卒業し、静岡にある農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)で2年間、お茶の生産、製造、加工、流通を学んだ。卒業後はお茶農家で1年修行を積んで上下に戻ってきた。約2.5haの茶畑で、無農薬特別農法で栽培している。生産から加工、販売まですべてを自社で行い、年間約9tの茶葉を製造している。
 肥料の量は基準の半量以下。その肥料は、お茶のおいしさを加える窒素成分を含むが、与えすぎると虫がつきやすくなり、余分な肥料が土に残って井戸水や地下水へと流れ出てしまう。無駄になる上に、環境にもよくない。同園では肥料の窒素成分量を基準の半量以下にして、上下町の自然に沿って自然の力を最大限に生かしたお茶作りを選んだ。広島県が認証する「安心!広島ブランド」も取得。まさに、上下の自然がなければこのお茶は作れない。

三代目の秋山剛さん。「先代の味を守りながら、もっといいものを作りたい」

厳しい寒さ、昼夜の寒暖差がおいしさの決め手

昼夜の寒暖差が、柔らかくて美しい形の良質のお茶を作る

 3月半ばになると、冬を越すために伸ばしたままにしておいた茶葉を刈り落とす。これを使ったのが小倉園の看板商品「寒番茶」だ。上下の厳しい冬の寒さを乗り越えた茶葉は甘味と旨味を溜め込んでいる。
 春の肥料をやって5月半ばに1番茶を刈る。芽が少し出たころ(芽出し)に肥料を与えると若葉の山吹色が少し緑がかり、お茶の水色が鮮やかになる。7月に入ると二番茶を刈る。「二番茶を刈るころの上下町は、日中33度あっても夜間は20度まで下がります。すると芽が固くなるのも、芽が伸びるスピードもゆっくりになります。つまり、葉が柔らかく形のいい状態が少し長く続くなり、おいしいお茶を作るチャンスが広がるということ。上下町は昼夜間の温度差が、上下茶のおいしさを生み出しています」

上下の寒さに耐えて甘味を増した「寒番茶」。たっぷり300gで500円。温かくても、冷たくしてもさっぱりしておいしい

頼りになるのは自分の手の感覚と口、そして失敗

一次加工をする工場の中は、火入れをするために40度を超える。

 栽培から加工、販売までをすべて行う同園では、特上煎茶用の茶葉から中級、下級まであらゆるレベルのお茶と量が必要になる。雨が降らない限り毎日、茶葉を刈る。その茶葉はすぐに加工する。
 一次加工では、蒸した後にあらもみ(粗揉)、もみ込み(揉捻)、なかもみ(中揉)をして、針のように茶葉を伸ばして(精揉)、乾燥させる。蒸し、粗揉では10分毎、15分毎、20分毎に茶葉を取り出して、その年の茶葉の状態を確かめる。揉み方や熱の入れ方などの基本設定を調整しては、お茶を淹れて水色や味をチェックする。これを繰り返して、その年の茶葉に合った加工方法を見つけていく。いくつもの工程と失敗、そこに工夫を加えて、先代から受け継いだ「渋みの中に甘みがあり、後味スッキリ」という味わいを守っている。
 秋山さんがお茶作りに携わって約20年。「長いようですが、一番茶づくりは年に1回しかできないので、たった20回の経験しかありません」と謙遜する。「茶葉は毎年違うものができます。だから、お茶作りは毎年1年生から始めるようなもの。これまでの失敗と経験を生かして、自分の手の感覚と口を頼りにしていいものを目指したい」と言う秋山さんの目に熱がこもる。

火入れをした後、上下の空気にさらして冷ます

日本茶葉で紅茶、洋酒とのコラボにも挑戦

小倉園の商品の数々。看板茶は「寒番茶(かんばんちゃ)」

 小倉園のお客様は付き合いが長く、年配の方が多い。「若い方にも知ってもらい、幅広い年代で味わってもえたら…」と日本茶葉で紅茶を製造している。同園の二番茶を使って、自然に発酵させる。「紅茶は上下の気温、湿度をなど、上下の気候を丸ごと使って作っています。上下独特のものです」。種類はやぶきたとおくみどりの2種類で、どちらもあっさりとして茶葉を長い時間入れたままでも渋くならない。冷めると甘味が強まり、より飲みやすい。また、中国醸造が開設した蒸留所が造るジン「SAKURAO」にも原料を提供している。広島特産品をボタニカルとして使用するもので、小倉園の上質な一番茶の荒茶で香りを添える。とても人気で品薄だ。
 小倉園のお茶、紅茶は、小倉園はもちろん、道の駅、ひろしま夢ぷらざ(広島市中区本通)などで購入できる。「当園のお茶や紅茶で、上下の気候を味わってください」と秋山さん。小倉園のお茶で、上下の気候をお土産にしてみてはいかが。
 

「やぶきた」と「おくみどり」の2種類の日本茶葉で製造した小倉園の紅茶

中国醸造の「SAKURAO JIN」。小倉園の一番茶で香りづけされている